勝てばグループステージ突破が決まる。1位通過は決まらないが、それに向けても重要な試合。
■マドリーの先発メンバー
GK:カシージャス
DF:アルベロア、バラン、セルヒオ・ラモス、マルセロ
61分:ハメス・ロドリゲス→ベイル、82分:アルベロア→ナチョ、86分:ベンゼマ→チチャリート
アルベロアとバランが先発に入ったほかはお馴染みのメンバー。
■リバプールの先発メンバー
GK:ミニョレ
DF:マンキージョ、コロ・トゥーレ、シュクルテル、アルベルト・モレーノ
FW:マルコビッチ、ボリーニ、ララーナ
68分:ルーカス→ジェラード、マルコビッチ→スターリング、74分:エムレ→コウチーニョ
前節から先発メンバーを大きく入れ替えた。週末のリーグ戦を考慮しつつ、グループステージ突破に向けては他の2クラブとの直接対決に勝てば良いと割り切ったのだろう。
■少し緩む展開
メンバーを落としたリバプールに対し、マドリーは最終ライン右サイドの2人以外は主力を揃えた。
互いに主力を揃えていたアンフィールドで、リバプールはハイプレスを仕掛けボールを奪いカウンターに繋げようとしていたが、マドリーの中盤より後ろの構成はそれを上回っていた状況がある。ベルナベウでもマドリーの後方のパス回しは安定していて、リバプールは第3節より早めにリトリートする現実的な対応をする場面が多かった。
そのため、アタッキングサードへ入ることは容易。ただ、その先の一押しのところで、リバプールの粘りが勝ることが多かった。
コロ・トゥーレ、シュクルテルは集中していて、サイドからのボールに対してはきちんと対応。中央も人数をかけており、マドリーは両サイドのイスコとハメスが絞ってきて崩しに掛かることもあったが、簡単には突破を許さなかった。
最初に書いたように、マドリーは勝てば突破が決まる試合で、消化試合を作れる状況ではあったものの、そこまで力を注ぐ試合かというとそれほどではなく、前節やバルセロナ戦ほどのプレー振りではなかったことも影響しただろう。押し込んだ後が難しい試合となった。
ただ、そこまでだれた試合にならなかったのは、守備面はある程度維持されていたため。
イスコがボールを追い回すのはもはや当然の光景になりつつあり、彼のようなプレーヤーが頑張ることに対して、ベルナベウの観衆はしっかり後押ししていた。4-4-2の守備は形としては問題なく、精神的な問題が多少あっても、こうした個々のプレーヤーの頑張りで雰囲気としてそれを感じさせなかった。
プレーの内容自体でいけば前節、ベルナベウでの試合ということで言えばバルセロナ戦の方が明らかに上回っていたが、ちょっとしたプレーに今のマドリーのチームの状態の良さと、それをサポートする雰囲気の良さを感じた。
攻めながらもゴールにならなかった時間が続いていたが、26分に先制。
マルセロの低いクロスに、ファーでベンゼマが合わせた。するするとファーに出てきたベンゼマの動き出しでフリーに。こうしたところに出てきて、きちんと合わせられるのはベンゼマが調子が良い証拠。悪い時はゴールになるような位置に出てこないし、出てきても全然合わないということが多いのだが、アシストだけでなく自身が得点できているのは素晴らしい。
また、マルセロの状態が徐々に上がってきていることも嬉しい。
少し前はノーチャンスの酷いクロスを連発していて、サイドでの崩しのプレーも冴えていなくてボールを奪われるシーンも目立ったのだが、高い位置でのプレーに思い切りが戻ってきて、中へ入っていって右足でシュートを放つ彼らしいプレーが見られるようになってきた。
チームとしてそれを許容するかどうかは別の問題だが、おとなしくプレーしていては彼を起用するメリットはない。サイドバックらしからぬ攻撃参加をできるのが彼の長所であり魅力。良いボールを蹴れアシストがついたことは、今後に向けて良い材料になる。
前半はそのまま1-0で終了。
■ベイル
後半のポイントは、もちろんベイルの復帰。61分にハメスと交代で出場となった。
中央に入ってきたり、イスコほどではないが守備参加もし、低い位置まで顔を出すハメスと違い、ベイルはウイングでありより攻撃的な振る舞いをする。
左サイドにボールがある状況でも、右サイドの一番遠い位置にいてサイドチェンジを待っていた。サイドラインギリギリの位置まで開いており、ハメスがいる時はサイドバックが攻撃の幅を作るべく上がってくる位置に最初から彼がいるような状況。ベイルの出場後は、左に相手を寄せて右のベイルに展開することを何度かしていて、彼が右の遠い位置にいるメリットを生かそうとしていたように見える。
問題は、サイドと同様、縦のスペースができづらい形になっていること。ベイルが不在の間に、マドリーはボールを持つことにかなり慣れてきているので、相手を押し込む形を採ることになる。そうなると、彼のようなプレーヤーにとってはやりづらいことになる。
では、スペースがある場面はどこかというと、カウンターの時ということに。
ベイルも中盤のラインには参加しており、トップのように前に残ることはさすがにないものの、それでもリバプールが盛り返していた時間帯に浮いた位置にいることがしばしばあった。
不在の間にイスコとハメスが良い形を作れているので、守備への意識もあると思うのだが、試合自体の緊張感がそれほどでもなかったこともあって、カウンター狙いが優先された位置取りになっているように見受けられた。
アンチェロッティによればコンディションは問題なく、リーガのラージョ戦では先発する予定とのことで、先発でも同様だとどこかでこれが原因の1つとなる守備の失敗がありそうな予感。
クロースの守備も万全とは行かないので、中盤の2枚の守備が不安定となるとなかなか厳しい。ポジション争いとなって、目に見える結果は欲しいところだろうが、落ち着いてやってほしいところ。
■微調整が必要
後半はリバプールペースの時間帯も長かったが、それでも1-0のままで試合終了。
グループステージは順調で、4節で突破を決めた。勝ち点差からいけば1位通過もほぼ問題ない。
ハメスとイスコがやっている形にベイルやヘセがどのように組み込まれていくのかは興味深いところ。出場機会という点では、今の調子であればイスコはベンチに下げたくないが、ハメスのポジション1つに3人は明らかに多い。トップでの起用も含め、柔軟に対応する必要がありそう。
プレースタイルの面では、この試合でも見られたように、ハメスとイスコの場合とはちょっと違う調整が必要。サイドでベイルやヘセに気持ちよくプレーしてもらいつつ、守備は崩れないように計算する必要がある。そのあたりはリーガや半ば消化試合となったCLで解決の糸口が見えればと思う。
週末のリーガはラージョをベルナベウに迎える。
ベイルが先発して、どのように攻め、守るだろうか。