家を空けていたこともあってしばらく更新が滞ってしまいました。
先週末はインターナショナルマッチデーで試合もなかったので、リハビリも兼ねて試合以外の話題、標題の通りセンターバックの状況を少しまとめておきます。
さて、トップチームのセンターバックは、セルヒオ・ラモス、バラン、ペペ、ナチョの4人。このうち、セルヒオ・ラモスは序列第一位として疑いないので触れないこととし、今回は彼以外の3名の状況と、今後の見通しについて整理していく。
■バラン
シーズン当初はバランがラモスの相棒だった。
マドリー加入から5年が経過し経験を積んできたところで、ペペの加齢もあるので、そろそろ世代交代したいという考えもあっての起用だったのだろう。
ファールせずにボールを奪える技術は高く、ボールの扱いも平均以上。年齢の割に落ち着いたプレーができるのが強みで、ほとんどの場合彼が問題となることはないので、良い試みかと思われた。
ただ、問題もいくつか。
まず怪我がちで、シーズンを通した計算が立ちづらいのが、チームとしては辛い。
また、時々判断の悪さが目立つ。ディフェンスというより、ボールを持った時にセーフティーにするか繋ぐかの判断が甘い傾向があり、低い位置で致命的なミスを犯してしまうことが散見され、その点はマドリーに加入してからの早い時期から今まであまり進歩が見られない。
大事な試合でそういうことが起きる印象が強く、一発勝負の試合では彼に任せるのはちょっと躊躇してしまう。
全体としては落ち着いたプレーを見せてくれるのに、ここぞというところで勝敗に関わるようなことをしてしまうのは、状況把握の能力が伸びていないからか、あるいは過信だろうか。
いずれにせよ、全体としてのレベルの高さは間違いないものの、完全に任せるには怪我という点でもプレー面でも怖さを除ききれないという状況が続いている。
■ペペ
当初は控えだったが、バランの離脱に伴って出番を得ると安定したプレーを披露。
既に33歳であり、身体的な能力の衰えが心配されたが、全く問題なくプレーできている。ディフェンスの安定性はもとより、判断ミスはほとんどなく、その点においてはバランとの差が大きいといわざるを得ない。
問題はあと何年このパフォーマンスを維持できるかという点。
現状のプレーなら彼を先発させたいが、いつまでも頼っているわけにもいかない。そのあたりが契約延長が進まない主な原因の1つであり、プレーが良いがゆえに、悩ましい状況となっている。
■ナチョ
センターバックとしては4番目の立場だったはずが、コエントランはコンディションが整わず全く戦力として計算できず、ダニーロも不安定といった両サイドバックの控えの状況に合わせ、サイドバックで出場機会を得て、良い意味で目立たない仕事で穴を埋めた。
そうこうしているうちに、センターバックとしても一時バランもペペも不在で出番を得て、ここでも問題ないレベルのプレーをした。
センターバック、両サイドバックと、どのポジションでもプレーできるだけでも大きなメリット。それに加えて、彼は少なくとも守備に関してはほとんど質を落とさない。ミスが少なく、淡々と仕事をこなしてくれる印象。
ボールを持って組み立てに寄与することは少ないが、その分大きな失敗もしない。落ち着いたプレーができる若手のセンターバックと言えば、マドリーではバランだったのだが、今シーズンの活躍でそれはナチョを指す言葉になったと言っても差し支えないだろう。
■誰を残す?
これまで見てきたように、シーズンの最初はバラン、ペペ、ナチョという序列だったが、バランが思ったようには地位を築けず、ペペの再評価やナチョの台頭によって、ポジション争いは混戦模様となっている。
それを踏まえて、今後誰を残していくか、ということを少し考えてみたい。
もちろん、理想は全員が残留すること。
だが、シーズン前にはバラン、ナチョに移籍報道があったし、1月にはペペの契約更新がならずボスマン移籍となるといった報道もあるように、拮抗した状況の3人に1つの枠を争わせることを長く続けていくのは難しい。
大ベテランであったり、まだまだこれからの若手だったちすれば4番目の序列でも一定程度納得させることは出来るだろうが、この3人のうち1名をそうした立場に置きつづけることはおそらく不可能であろう。
そのため、今夏に誰か1名は移籍させなければならなくなるのではないかと考えており、それを前提として、話を進める。
現実として移籍の可能性が最も高いのは、今夏で契約が満了するペペ。
だが、今シーズンのプレーを見る限り、あと1シーズンは間違いなくレベルが維持できると思われるし、こうして巻き返してきたことから、控えとなっても対処できるメンタリティがあると考えられるので、戦力としては大事にしたいところ。
そうなると、バランかナチョのどちらかを出すということになるが、私としてはナチョを残したいと考えている。
バランは、前述したとおり大きな試合での起用に怖さが残る。それ以前に、負傷があって、いつどうなるかわからないのは不安が大きい。負傷は彼の責任ではないし、乗り越えてほしいと思う。また、それを理由とするのは忍びなくもある。
だが、純粋にチーム事情を考えた時に、いつ欠けるかという不安は、大きな要素として考慮すべきだ。コエントランを例に挙げるのは極端としても、特に安定性が求められる最終ラインで負傷離脱のリスクが付きまとうのは苦しい。
ナチョはサイドバックの控えとしても起用可能で、組み合わせの幅が広がるメリットが大きい。ペペが残るとすれば3番目のセンターバックとなるので、本職でも出番を得つつ、チーム事情によってサイドバックとして助けてもらうことも出来る。
プレー面でも、ここまで安定しているのは大きな発見だった。将来的にポジションを狙える立場として、もっと見てみたいと思う。
■最後に
セルヒオ・ラモスを除く3人のセンターバックについて現状を簡単に確認しつつ、来シーズン誰を残すべきかをまとめてきた。
シーズン途中に移籍に絡む話は野暮だが、現状は余りにも豪華であり、現体制の解体はそう遠くない将来に起こる。ペペの契約更新がなければ間違いなくこの夏に行わなければいけない作業となってくる。
今シーズン当初の序列から変化があり、今に至っていることは、その時に重要な判断材料となるだろう。
バランについてでも触れたように、負傷で判断せざるを得ないのは悲しい。できれば、皆怪我のない状態のパフォーマンスでポジション争いをしてくれればと願っている。