序盤は状況を整えるのに苦労したが、少しずつ優位を築いて、結果4得点。
ヘタフェ戦での渋い雰囲気を払拭した。
今回はこんなメニューで。
■マドリーの先発メンバー
GK:クルトワ
DF:ルーカス・バスケス、ミリタン、アラバ、メンディ
MF:カゼミロ;モドリッチ、クロース
FW:アセンシオ、ベンゼマ、ビニシウス
70分:モドリッチ→セバージョス、カゼミロ→カマビンガ、87分:ルーカス・バスケス→ナチョ、ビニシウス→バルベルデ、89分:ベンゼマ→イスコ
ビニシウスが復帰。アセンシオの右も定番になりつつある。
■バレンシアの先発メンバー
GK:シレッセン
DF:ピッチーニ、ディアカビ、アルデレーテ、ガヤ
MF:エルデル・コスタ、バス、ギジャモン、ゲデス
FW:ムサー、マクシ・ゴメス
66分:エルデル・コスタ→マルコス・デ・ソウザ、ムサー→チェリシェフ、マクシ・ゴメス→コインドレディ、77分:ピッチーニ→イランソ、83分:コインドレディ→バジェホ
ソレールが離脱中。中位だが、ヨーロッパ圏内までの勝ち点差は大きくないところにつけている。
序盤の苦労のわけ
アンチェロッティは序盤に守備面で苦労したという旨を述べていた。
確かにこの時間帯はドリブルでサイドから運ばれる形が目立っていた。
一人で縦に走るのがほとんどで、組織的に出てくるという感じではなかったので、そこから展開される前に処理できていたため、明らかなピンチにまでは至っていなかったものの、ボールの回収地点が低くなっていた。
そうなると、マドリーがボールを運ぶまでにバレンシアが守備を整える時間ができる。
リーガでよく見られる、持たされる展開になりそうな立ち上がりであった。
ただ、これについては、マドリーの守備の形が悪くやられていたというよりも、その前のボールの失い方がまずかったことの問題のほうが大きかったように思う。
サイドバックが高い位置をとって、仕掛けようとするタイミングで奪われていて、バレンシアが攻める時、サイドには大きなスペースができていた。
主審のエルナンデス・エルナンデスがファールを取ってくれていなかったこともあって、出足の良いバレンシアの守備が接点で勝り、サイドを走られる展開を作られていたのだった。
また、前からの守備も少し緩め。
バスやギジャモンに簡単にボールを通され、前線とそこに参加しているクロースが置いて行かれる場面がしばしばあって、ボールの回収地点が低くなる要因となっていた。
ビニシウスの存在
先日のヘタフェ戦との違いは、裏を狙うビニシウスがいた点。
アラバやミリタンも彼の動き出しは見ているので、長いボールを使う発想はあった。
これにより、バレンシアの最終ラインは簡単に上げることができず、陣形は少しずつ間延びすることに。攻撃の際により孤立しやすくなっていった。
ボールを足元で受けて仕掛けられるのも嫌だろうが、それに加えてオフザボールでも常に気にしなければならないとなると、もっとずっと長い時間対応を考えなければならなくなるから、守備からすると本当に面倒だ。
ビニシウスがいない場合守備ブロックの前のプレーばかりになるから、ヘタフェのように守ることが実現できるチームならやりやすい。
ビニシウスがいない時に、こういう存在感を出せるプレーヤーが代わりにいないのが辛いところ。
右のアセンシオは、あくまでビニシウスがいる状態でだが、相手の間で受けて右サイドに寄らせるプレーで効果を挙げている。
自分でシュートもできるのでディフェンスとしては放置できないかた警戒せざるを得ず、自分でもやれるし潤滑油としても機能していた。
彼がこうした役割を主にするとしたら、ロドリゴがやってくれるとありがたいのだが、彼もスペースで受けるのはあまり好きではないよう。
今シーズンはビニシウスが最後まで健康かつ好調を維持できることを祈って、来シーズン以降はフランスから誰かがやってくることを期待するしかないかもしれない。
バレンシアのミスにより得点
間延びする場面が増えてきたバレンシアは、スピードアップできる形を作れず、低い位置で組み立てに時間がかかるようになってきた。
その頃にはマドリーのプレスも整理されてきて、ふわっと出ていって裏返されることが減り、前で奪って攻撃が継続できるように。
40分にモドリッチのシュートがバーを叩いたシーンのようなチャンスが増えてきた。
41分、カゼミロがガヤの中央へのパスを読んでカット。そのまま持ち込んだところをアルデレーテに倒されてペナルティ。
クロースとアセンシオが追って、ガヤをモドリッチがつかまえようというところでのパスミス。前から人数をかけて制限したところで、カゼミロがうまく前に出た。
バレンシアに難しい組み立てを強いて、選択肢を減らしたところを奪って前へというマドリーの思惑通りのプレー。仕込みに時間はかかったが、良い守備から大きなチャンスを作った。
これをベンゼマが決めて先制に成功。
一気に2点
先制しての後半は完全にマドリーのペース。
序盤はマドリーの守備の緩さが見られバレンシアが縦に走っていたが、得点が動いたことで後半はバレンシアが出てこざるを得なくなって、マドリー好みの試合展開となった。
ビニシウスが仕掛けられることも増えてきて、52分、サイドから中央へ運びベンゼマとのワンツー。
ディフェンスに寄せられたものの、ボールをわずかに押し出して裏を取り、シレッセンとの1対1を作って楽々決めた。
ベンゼマからのパスを受けたタイミングではシュートできるスペースもないし、体の向きもゴールを向けていなかった。その後のアウトサイドのタッチが全てを変えてしまったのだった。
61分にはムサーが低い位置でルックダウンしてドリブルをしたところをクロースがカット。
ベンゼマからのパスを受けたアセンシオのシュートは防がれたが、ビニシウスが詰めて無人のゴールへ押し込んだ。
自分のゴールとはならなかったが、こういうところで逆足でもシュートできるとアセンシオは良い。切り返して左足で何とかならないかと手数をかけないのは、調子が良い証拠だ。
ビニシウスは最後まで追ったご褒美をゲット。
これでほぼ勝負は決した。
ベンゼマが最後の仕上げ
スーペルコパでの移動を控えていたので、カゼミロとモドリッチを70分で休ませられたのは大きい。
セバージョスはまだまだながら、交代で入ってモドリッチとは違うテンポを出せていた。バルベルデ、カマビンガとともに彼も控えに置けると、こうした余裕のある試合でおなじみの3人を休ませられる。
セバージョスには、ジダン期とは違ってチャンスはあるのではなかろうか。
少なくとも交代での出番はあるように思われるので、まずはそこで良いところを見せてほしい。
メンディのお粗末なプレーでペナルティを与えたものの、最後はメンディのクロスを受けたベンゼマが美しいターンからのシュート。
ケーキにイチゴを載せ、デコレーションもして完成といった雰囲気の締めくくりだった。
バレンシアとしては序盤の展開を続けられればと悔やまれる試合。
ここで決定機があればマドリーの出方も変わっていたかもしれない。ソレールがいなかったのは大きかったと思ってしまう。
その後はミスから失点。ビハインドになってスペースを与えてしまう守備と、マドリーがやりやすい形にはまりこんでしまった。
マドリーはビニシウスの存在の大きさを痛感。
オフザボールで相手に与える影響、得点シーンのような狭いところでのアイデア、最後まで走る献身と揃ってしまっている。
これらを個別に担えるプレーヤーはいるかもしれないが、一人で一手にやってしまえる彼に、今のところ並ぶ者がいない。
ケガや病気には気を付けてくださいと祈るばかりである。
最後に日程確認
ミッドウィークはサウジアラビアでのスーペルコパ。
まずバルセロナと戦い、勝つともう1試合ある。過密日程が終わり、CLまで少し時間がある1月は、本来は少し楽がしたい月なのだが・・・
変な手の抜き方をすると、その後の流れを悪くしかねないし、バルセロナ相手ということもあってしっかりやらなければならないのが辛い。
こうした日程のため、今週末はリーガはお休み。
来週はミッドウィークにコパデルレイ、週末にはリーガと、エルチェとの連戦が予定されている。